ゲーム諸説

自分の中で諸説が飛び交っているゲームの話

『ファイアーエムブレム ヒーローズ』の仕組みを考える

スマートフォンでシミュレーションRPGとか、無理だろ……
というのが、ファイアーエムブレム ヒーローズの一報を聞いた時の感想だった。
SRPGスマートフォンというのは、色んな面で相性がとても悪い。
その点を一体どうやってクリアしているのか、それともできてなかったのか。

スマートフォンでの操作の問題点

スマートフォンでSRPGが難しい一番の理由は、いい操作方法がないということ。

まず操作に使うのが指という点。
指には、右クリック用のボタンがついていない。もちろんホイールボタンも。

指だけでタッチするだけで遊べるようにするというのは、ファミコンのゲームをAボタンだけで遊べるようにしろといってるのに近い。
これはSRPGでは結構きつい。
スワイプや長押しといった操作方法も考えられるけど、誤動作の危険がとても大きい。
ちょっとした操作ミスで負けてしまうSRPGにはやっぱり相性が悪い。

そして画面のスクロールもやっぱり難しい。
昔のパソコンゲームだと、マウスを画面端から、さらに画面外に向かってカーソルを動かすとスクロールというのが定番だった。
フルスクリーンのゲームならコレでよかったけど、ウィンドウモードで動かすと、マウスカーソルが画面からはみ出すので、この方法が使えなくなった。
タッチパネルと指の場合も同じで、指は画面からはみ出してしまう。
ただスクロールさせるだけならともかく、移動距離の長いユニットだと、移動先を選ぶ時もスクロールが必要になる。
これをスムーズに遊べるようにするのは相当難易度が高い。

もう1つ。ユニットを大きくしなければいけないというのもある。
現在のスマートフォンの画面解像度はパソコンと大差ないのだが、画面そのものは小さい。
そして指の操作を考えるとあまり小さくは出来ない。1マスを大きくする必要がある。
マス目が大きいということは、遊ぶ人の視野が狭くなるということで、これもあまりよくない。

ファイアーエムブレムヒーローズが試みた対応策

戦術移動をマス目の指定だけで済むようにした

従来は、移動->(武器攻撃/魔法/待機)->(再移動)など、1キャラごとにいくつかの行動選択肢があったところを、とにかく移動だけに整理してしまった。
攻撃は敵の上に移動。回復スキルは味方の上に移動。何も無いところなら待機。
武器を選ぶとか、攻撃後に再移動とか、攻撃せずに盗むとか、そういう選択肢を排除している。

武器や魔法は全部スキルシステムに統一。
敵に向かって移動した時に発動する攻撃スキルに『鋼の槍』や『勇者の槍』といった物セットする。
味方に向かって移動した時は補助スキル。回復魔法の『ライブ』とか、再行動の『踊る』とか。

シリーズになかったスキルもいくつか追加されている。

中にはデメリット持ちのスキルもあるので、外した方が有利な場合もあるけど、それも戦闘前に決めないといけない。
一度戦場に出た後だと自動的にスキルが発動する。

こういった設計によって、指のスライド1回で、1キャラの操作を完結させることが可能になった。

直接攻撃と間接攻撃は、キャラごとにどちらか限定になったことも大きい。
例えば自キャラを隣の敵に向かって指をスライドさせた場合、直接攻撃ならそのまま攻撃、間接攻撃なら一歩下がって攻撃。
どっちなのかが明確。
攻撃出来る移動先がいくつかある場合も、指の軌道によって確実な指定が出来る。

スライドせずに、1回1回タッチする方式もあるけど、これは確定するのに数度のタッチが必要になるのであまり使ってない。
指をいためそう。
ただ何度もタッチさせる分、より正確な操作は出来ると思う。

スクロールしないマップ

これも中々思い切った選択だと思うけど、マップを1画面にしたことで、スクロールの必要をなくしている。
ファミコン版だと最初のマップでもスクロールしてたというのに。

スクロール機能がないので、それ用のボタンとか、ミニマップとか、そういうので画面上がごちゃごちゃしない。
とてもスッキリした画面になっている。

もちろん押し間違えの心配がないように大きめのマス目で、6✕8マスになっている。
ユニットの絵は戦闘画面と同じ、各キャラごとに違う絵なので、この騎士は誰だっけ? ということがない。
誰がどこに居るかは従来作に比べてもわかりやすい。

しかしそうすると戦場が狭くなってしまうので、各キャラの歩数はシリーズ屈指の少なさ。
重装系は1マス、一番足が速い騎馬系でも3マス。
歩数自体も少ないけど、騎馬が重装の3倍の歩数になっている。
そして歩行系と飛行系は同じ2歩。
0.5歩のような細かい設定が難しいので、大雑把なバランスになっている。

遊んだ印象としては、従来作のような、重装系が戦場に間に合わないということは少なかった。
ただ前線で他のキャラと入れ替わろうと思うと難しく、到着してるけど前に出られないことが多々ある。

RPGからパズルへ

戦術から運の要素を排除

ファイアーエムブレム ヒーローズは、戦場に運の要素がない。

おなじみだった命中率と回避率、そしてクリティカルがなくなっている。
スキルの発動も、任意発動、ターン数で自動発動、戦闘回数で発動と、確率が関わる物がない。

ファイアーエムブレムの場合、鍛えると回避率が100%ということもあって、そうなると実質無敵状態。
90%回避出来るなら、当たっちゃったらリセットという作戦も十分成立した。
でも今回はそれがない。
勝つ作戦なら勝つし、負ける作戦なら負ける。

唯一レベルアップ時のパラメータアップは、運が戦局を左右する可能性があるけど、これも成長量は決まっている。
全滅してやり直した場合、上昇した経験値もレベルも戻ってしまうけど、次やっても同じパラメータが上がる。
それで勝ちを拾えることもあるけど、レベルアップ自体は事前に修練場でも出来るわけだから、あまり意味はない。
1戦分のスタミナを得することがあるぐらい。
最終的にはレベル上限まで上げて戦う本気のバトルになるので、そうなれば戦闘中のレベルアップということもない。

運を排除した理由は知らないのだけど、これによって印象がSRPGというより、パズル的な雰囲気になっている。
シミュレーションパズルといった印象。
敵の初撃さえかわせれば勝てるというパターンでも、回避の可能性にかけて何度もトライという作戦がとれない。
絶対に当たる前提で、ダメージ軽減をするか、回復をするか、他の人が喰らうか、という作戦が必要。
敵味方のユニットが同じではないにしても、将棋や囲碁の考え方に近い。

運の排除はAIにとってかなり有利に働いていると思う。
このゲームのAIには、ファイアーエムブレムらしくない強さがある。
確率がないから、こうすればどうなるというのが、正確に計算出来るからだと思う。
状況に合わせて行動の順番も変えてくる。
いちおう回復を優先してしまうとか、何かしらのクセはある感じだけど、かなり嫌な行動をしてくる。

戦場に運はないけど、ガチャ運は大事

ユニットはシナリオやイベントで入手できる物を除くと、ランダム型アイテム提供方式の『召喚』。
いわゆるガチャ。

といってもシナリオで入手出来るのは★2以下のかなり弱いユニット。
ガチャは外れでも★3なので、そっちを使った方がかなり強い。

しかし戦場はパズル的になっている。

するとどうなるかというと、手持ちのユニットではどうやっても勝てないマップ、というのが必然的に出てくる。

本編シナリオは適当な★4か★5が4人いれば楽勝だし、頑張れば★3だけでもいけそう。
★3はガチャで確実に出るから問題ない。

でもイベント用の高難度マップは、どうもそれだけでは勝てない感じ。
特に、1キャラでも死んだら負け、コンティニュー不可で最初から、という条件がきつい。
キャラ毎に取得出来るスキルが違うので、パズルの解法がわかっていても、それが出来ない。

時間をかければキャラを集めたり、低ランクのキャラを覚醒させてレア度を上げたり出来るだろうけど、イベントは期間限定。

じゃあイベントに備えて、みんなが事前に色んな種類のキャラを育てておいたとしたら、パズルが楽しめるのか?
それも難しい気がする。
すぐ攻略Wikiとかに載るから。
運の要素がないということは、同じキャラが居て、同じ行動をすれば、確実に勝てる。
(ただし成長の問題でレベル上限まで上げてもパラメータが足りないということはありえそう)

自分がWiki見ないとしても、運営としては見られる前提で、報酬などの難易度を見積もらざるを得ない。
見ても勝てないようにしようと思うと、ガチャの設定を極悪にするしか、やりようがなさそうな気がする。
だからといって運要素を入れて、敵配置をランダムにしたりすると、それはそれでパズルの楽しさが損なわれそう。

ファイアーエムブレム』としての『ファイアーエムブレム ヒーローズ』

どうやったらスマホファイアーエムブレムが作れるんだ?
という疑問に対して、かなりのクオリティの解答になっているゲームだと思う。
どうにもならないものは、どうにもならないなりに、そこを回避したシステムにしてある。

だとは思うんだけど、一番寂しいのは、出撃ユニットが4人というところ。

ファイアーエムブレム、あるいはそこから発展したSPRGの一番好きなところは、たくさんのキャラが戦えるというところだから。
人数が少ないSRPGを遊んでいると悲しくなる。
メンバーが固定ならまだいいんだけど、人が余ってると、せっかくのSRPGなのに、一体どういうことなんだと。

ましてこのヒーローズは歴代作品のキャラが集結してるわけで、4人はいくらなんでも少ない。
同時動かせるユニットとしては4人なのはしょうがないにしても、何か役に立てる方法はないのかと。
使わないキャラが多いってことは、いくらガチャで引いても無意味ってことだし。
嫌いならキャラをガチャで引かないと勝てないってのも辛いけど。

死んだらリザーブで出撃とか、複数キャラで1ユニットを形成とか、そのうち導入されるんじゃないかと思うけど。
結婚システムもあるといいかもしれない。
原作で不可能だった組み合わせとかもあるといい。でも兄妹結婚解禁とか、そこまでは踏み切れないだろうなあ。

パズル的な側面も、ゲームとしては面白いけど、ファイアーエムブレムとはやっぱり違う。
ある程度難易度がゆるいからこそ、編成や成長の自由度があったし、ヘボいAI勢を蹴散らすことが出来た。
少人数同士でガチバトルというのは、まるで逆の方向性のように感じられる。

全体として、良く出来てるんだけど、ファイアーエムブレムに求めている物とは違う感じ。
でも時代が変わって、ファイアーエムブレムに求められている物自体が変わっただけのような気もする。