ゲーム諸説

自分の中で諸説が飛び交っているゲームの話

ダンジョンの行き止まりにある宝箱がありがたくない理由

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ダンジョンの奥深く、いりくんだ迷路の分かれ道を抜けて、ようやく討伐依頼を受けたモンスターの巣窟へとたどり着いた……それはつまりハズレの道を来てしまったということ。取り逃がした宝箱を回収しに戻らなければならない。ひょっとしたらセーブポイントもあるかも。ボスが見えた時点で強制移動パターンだったらもう最悪。

サービス精神で置かれた宝箱

今から20年ぐらい前の本だけど、桃太郎秘伝(上下巻)という、ゲームデザインの名著がある。もう絶版になって久しいのでプレミア価格がついてしまっているけど、今でも有益な本なので、電子書籍化などで復刊されたらいいんだけど、でも桃鉄もあんなことになってて、望みはうすそうな……

ともかく、この本の下巻にマップデザインのついての記述があって、行き止まりの道が多いダンジョンはよくない、プレイヤーをガッカリさせないように桃太郎伝説外伝では行き止まりに必ず"つづら"を置いた、という話が書いてある。つづら、というのは昔話によく出てくる入れ物で、要するに宝箱のことをこう表現してる。

逆に考えると、行ってない分かれ道を残した状態でボスのもとにたどりついた場合、必ず宝を取りそこねているということになる。

もちろん行き止まり全てに宝箱を置いてあるゲームは少ないけど、置いてある可能性はある。あるかどうかわからないのだから、探しにいくことになるのは同じ。

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分かれ道があって、中央にボスの部屋、左にセーブポイント、右に宝箱があるとする。そのことをプレイヤーが認識できていれば、(セーブ) > 宝箱 > セーブ > ボス というのが順路になる。敵が強かったりHPが少なければセーブを優先するし、ボス戦で負けた後で宝を取り直すのもめんどくさいから。

ただしマップに対して視界が狭く、攻略ページなども見ていない場合、ハズレルートを進むことになる。アタリハズレがあること自体が問題じゃなく、行き止まりでガッカリしなくなったかわりに、本来の目的地についた時にガッカリするようになったというのが、本末転倒じゃないかと思っている。

悩まずに探索できるダンジョンにする方法

そうはいってもガッカリ度合いはゲームによって違うし、プレイヤーの損得勘定とゲームの目的とをシステム的に上手く合致させている例はある。

中にレアアイテムを入れない

宝箱にレアアイテムが入ってるから取り逃しの問題がでてくる。あればうれしいけど、取りに戻るほどではない程度の中身にしておけば問題ない。ただしそれをプレイヤーが認識していないと意味がないので、さりげなく伝えておく必要がある。「ダンジョンにそんなに良いものは落ちてないよ」という村人とか。

宝箱を地面に置かない

そもそも宝箱を置かなければ、取り逃すこともなくなる。この方法でもボスの前から逆戻りしなくてすむ。レアアイテムはモンスターを倒した時に獲得できるようにすればいい。ただこれもプレイヤーが認識してなければ意味がないことに注意が必要。

全部順路に配置する

ほかのところに宝箱があるからボスルートがハズレになるので、じゃあボスへの道に宝も置いてしまえばいいという発想。ただし当初の問題だった行き止まりのガッカリ感は残ってしまう。宝箱はともかく、セーブポイントに関してはこの方法が良いだろうと思う。分岐でのセーブポイント見逃しは運任せなのに難易度が急変してしまうから。

ダンジョンをランダム生成する

取り逃しはダンジョンや宝箱の総数が有限で、場合によっては2度と取り返しが効かないと思うから考えることで、たとえばローグライクゲームの場合だとあまりこういう意識は出てこない。隅々まで探すのも、もう1回ダンジョンにもぐるのも、大して変わらないから。ただ1度生成されたアイテムは2度と出なくなるとか、設定によってはランダムでも探さざるを得なくなるんだけど。

フィールドマップの廃止

地図がなければ行き止まりも何もないので、ガッカリ対策はしなくてよくなる。シンプルな一本道にしたり、ダンジョンの踏破率を数字で表記したり、戦闘だけを一定回数繰り返したり。この方法はスマートフォンのタップだけで進行出来るので、ソーシャルゲームRPGはこの方法がほとんど。マップデザイン好きにとっては悪夢。

ゲーム慣れしすぎたプレイヤー

はじめてRPGをプレイするような少年はこんなこと考えないわけで、結局のところRPGに慣れすぎたのが原因だと思う。

でも、20年前30年前とは状況が違う。これだけたくさんのゲームがある状況で、純真な少年プレイヤーを期待するのはむずかしい。クリアしたダンジョンに二度と入れなくなったり、宝箱回収率という数字が出てきて愕然としたり……プレイヤーはそういう嫌な経験を積んできている、ゲームが疑いの目で見られているということを前提に考えないといけないと思う。